10 海外調達で失敗を繰り返さないために その3

3 新製品企画書と設計仕様書の完成度を上げる

イグレン 加藤 文男

 国内調達の場合、資材担当者、設計担当者の同席のもとで仕様書や図面を調達先に提示して打ち合わせをします。その後、調達担当者が見積書を入手し、価格の交渉に入り、調達価格が決定します。

ところが調達価格の決定後に仕様変更があります。設計者は、この程度の小さな変更は問題ないだろうという軽い気持ちでの連絡です。また、設計者のミスが原因の場合、調達担当者に言いにくく、設計担当者と調達先が直接交渉し、納入価格や納期など何とか最初の条件に辻褄を合わせようとします。仕様変更は、設計担当者から調達担当者を経由して調達先に内容を連絡するのが本来の形です。しかし、国内調達では、設計担当者が少々の仕様変更は調達担当者を無視し、通さないで直接取引先に連絡して対応することがよくあります。取引先に少々の経済的な負担があっても、無償で対応させる無理を通してきたのです。
同様に営業担当者からも、改善の要望が出て、調達条件に変更が発生することもあります。市場の状況の変化で調達数量に自信が持てなくなり、変更する場合もあります。これらの変更は、調達担当者を経由して取引先に対応させますがすでに販売時期や販売数量、原材料部品の調達価格が決まっています。取引先に価格など他の条件をそのままで、当面の調達数量のみを変更します。無理を承知で対応させてきたことが多くありました。
これらの仕様変更や調達数量の変更などは、取引先も大きな材料の無駄など大きな経済的負担がない限り、今後の受注や取引の関係もあり、仕方がないとできる限りの協力姿勢を示し、対応してきました。

海外調達ではこれが通用しません。簡単な仕様変更でも条件の変更も必ず調達担当者を経由して取引先へ連絡します。調達の打ち合わせを実施して、仕事が開始した後仕様や条件の変更は再見積もりとなります。国内の経験で「この程度の変更は問題ないだろう」と判断される程度の変更でも同じです。海外の製造業者にとって条件や仕様の変更は、再見積もりは当然のことです。製造工程にも影響し、納期変更になる場合もあります。特に厳しい価格交渉の後で調達価格が決定した場合は、条件や仕様変更は、価格を上げ、納期を変更する大変都合のよい理由となるのです。更に仕事の進行状況により、材料費や労賃の補償を要求される場合もあります。

これらは設計者のミスによる仕様書の完成度の不備であり、営業担当者の変更の要求は、新製品企画書の不備が原因です。仕様変更や調達条件の変更は、結局見積価格を高くしてしまいます。このことは、国内調達ではよくあることで問題になりませんが海外調達では、調達価格の上昇という失敗の一つになるのです。設計者も営業担当者も仕様書や新製品企画書の作成には十分慎重に行い、完成度を上げることに責任を持たなくてはならないのです。

掲載日:2016/04/28

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