15 もしあなたが契約担当に配属されたら その2

注文書の発行

イグレン 加藤 文男

 調達価格が決定すれば、次は注文書の作成です。注文書は取引契約書のひとつであることは前に確認しました。たいへん重要な業務です。
注文書に関する基本的な考え方は次の通りです。

 Ⅱ 注文書の発行
(1)注文書の作成と発行
 注文書には次の項目を必ず記載します。同じ取引先への注文品目が多い場合には、取引先別にリストとして作成するのが一般的です。注文書に記載する項目の共通的な項目は、取引基本契約書を交わし、注文書への記載を簡略にすることが合理的です。
・ 注文日
・ 発注社名
・ 注文書番号
・ 取引先名
・ 発注品名(購入する原材料の名称)及び型式・品番など
・ 注文数量
・ 単価
・ 金額
・ 指定納期
・ 納品場所
・ 受入れ検査等
・ 支払い条件
・ 支払い期日、支払い方法

 注文書は契約書です。責任者の検印が必要です。注文書は、作成後上司の確認の検印を受けま
 す。作成した注文書は速やかに取引先へ送付します。

(2)注文の変更と取り消し
 やむを得ずに注文書を発行送付した後、注文品や注文品リストの一部を日程変更、又は、取り消しすることも発生します。注文書の発行と取り消しのタイミング、注文した原材料の汎用性などによりますがこれによって発生した損失については補償が必要になる場合があります。

① 注文の変更や取り消しは、速やかに実施します。
② 取引先の原材料の手配(注文の状況)状況、製造への着手状況、在庫の状況、製造計画調整の
  可能性、損害の発生状況に関する情報を入手します。
③ 汎用品の場合は、取引先が販売先を変更が可能ですが自社の仕様に基づく品目は、他社への販 
  売(転売)が不可能です。取引先が製造・販売日程を変更することで対応可能であれば、納期
  の変更で対応します。注文量が多額で転売が不可能の場合には、損害補償を要求されることも
  あります。
④ 注文の変更や取り消しに関する取引先の情報は必ず文書にて実態の報告を求めます。
⑤ 修正した注文書は必ず発行します。

 注文書は契約書です。契約書に間違いは許されません。記載項目の発注品名、注文数量、単価及び指定納期の記載は特に注意を要します。記入ミスは、大きな損害賠償になることもあることを肝に銘じておきましょう。

 (3)受注の確認
 注文書を送付した後、取引相手先の受注の意志を確認します。受注の確認は、注文請書で行なうのが一般的です。取引品目が多く、注文品目をリストとして送付する取引先の場合、個々の注文請書を受領するのでなく、納期回答書の形で受け取る場合もあります。毎月取引のある場合、日常の電話などで納期のトラブルに関する情報の交換で納期遅れの情報を得ることができます。しかし、初めて取引を行なう相手先や取引回数の少ない場合、金額が大きい場合は納期近くになってトラブルの発生を避けるために注文請書で確認をしておく必要があります。

 指定の日程に間に合わない場合は、納期の遅れに関する情報を必ず入手し、日程表を別途に作成し、特別に注意して管理する必要があります。

 注文書を発行後、取引先の事情で受注ができない場合は、新しい取引先を探し、見積書を入手し、価格を決定し、その取引先へ注文書を作成送付します。

 注文書の発行したあとは、納期管理を担当する調達担当に引き継ぎます。

掲載日:2015/06/25