29 安心できる取引先を選ぶポイント6

金型管理を観る

イグレン 加藤 文男

9 金型管理
 板金加工や樹脂成型品には、必ず金型を使用する。板金加工部品や樹脂成型品の品質は、板金材料や樹脂材料そのものの品質が基本である。その次に大切なのは適切な金型管理である。金型管理も5Sが基本である。
 金型は資産であり、製作した後に業者に預かってもらうのが普通である。ところがこの金型を使用して他社の部品を製造されることがある。海外でブランドの偽物がたくさん出回るが製造業者まで目が届かないために無断で金型の使用されているケースがそれである。金型を預ける際に他社ように使用しないことを書面で契約を取り交わすことは勿論である。
 金型の管理も取引先を選び一つの重要なポイントになる。
(1)使用後の清掃
 取り外した際に担当者がきれいに清掃し、オイルやグリースなど必要な処置をし、予め指定の保管場所に戻すのが基本である。しかし、実態は次の仕事が待っており金型を取り外すと空いている保管場所に置かれる。取り外した金型はていれも清掃もされずに放置される。日本では金型が高価なために資産として大切に扱うが海外では冶工具のひとつくらいにしか考えられない。取り扱いも乱暴である。金型を使用する取引先は金型の取り扱い方や使用後の清掃とメンテナンスを確認する必要がある。特に精密金型の場合は特別の配慮が必要になる。
(2)保管状況 
 金型は重量が大きいために保管に耐えうる保管場所が必要である。十分広い敷地があれば丈夫なパレットを準備しその上に整然と並べて保管できる。雨や風が入らない屋根付きの倉庫を準備し、チェーンブロックやフォークリフトを使用して必要な時に直ちに出し入れができるので理想的である。十分な敷地が準備できなければ金型の重量に耐える棚を準備し取り出しやすいように並べる。
 金型の名称(品番)と対象とする製品名などが一目でわかるように記録したラベルでの表示を確認する。
(3)定期的メンテナンスとその履歴管理 
 常に金型はいつでも使用できるようにメンテナンスを必要とする。また、金型は摩耗するために過去の使用回数(成型した数量=ショット数)の記録が必要である。使用頻度の多い金型はその記録によって新しい金型の製作を検討する。
 預けた金型は、資産として大切に管理することを成型業者や板金製造業者に依頼する。日本企業の経理部門は資産管理として定期的に保管状況を確認することを要求するはずである。
(4)長期未使用金型の管理
 金型を長期間未使用の金型の保管はそれらを預かる企業にとって困る存在である。重量物であり移動も簡単ではなく管理も面倒である。預けた方はサービスメンテナンスや補修部品供給のために出来れば保管しておきたい。
 製品としての寿命を計算し、生産終了時にサービス用の必要数を製作し、廃棄することを決済したい。国内の取引でも担当者が変わると古い金型の存在が忘れられ、管理不在のまま放置されることが発生する。
 古い金型をきっちり管理する取引先を選ぶことで当方の資産管理も楽になる。どこまで対応可能かを観ることも取引先を選ぶ重要なポイントである。

掲載日:2017/02/16

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