9 資材購買部門の機能と役割

イグレン 加藤 文男

 前回まで、原材料や部品を調達購入する機能を持つ部門を資材購買として理解し、それぞれの業務の流れを見てきました。次にそれぞれの業務についてその詳細の内容を考えたいと思います。

 資材購買部門が扱い原材料や部品には、板金プレス部品、プラスチック成型部品、ゴム成型部品、電気部品、そして、電子部品など非常に多くの種類の原料や部品、材料が含まれます。ここでは電子機器製造業を例にとり、考えます。

 それぞれの機能の概要は次の通りです。
(1) 契約機能 
契約は、購入する取引先に対して、技術仕様書や図面を提示し、取引可能かどうか情報を収集します。技術レベルや製造に関する信頼性がある程度確認できれば、可能な納期を確認し、同時に価格交渉に入ります。これらの条件を確認し、取引先を決定します。そして契約書のひとつである注文書を作成・発行します。

 契約担当の主要な機能と役割
① 必要な原材料、部品を購入できる取引先を複数見つける
② 複数の取引先に見積書を取る
③ 見積価格の評価する
④ 納期や最適価格の交渉をし、納期を確認する
⑤ 購入予定価格と納期が合致すれば取引先として決定する
⑥ 注文書を作成し、連絡送付する

注文書を発行送付すれば、調達担当に任せます。

 (2) 調達機能
調達担当は、注文書として発行された原材料の確定納期を確認し、納期までに入手する役割を持っています。

 調達担当の主要な機能と役割
① 納入日程に応じて、入手可能日を確認する
② もし、納入日程に問題があれば、その問題の解決策を検討します
③ 必要に応じて関連部門の応援を依頼し、問題の解決のために改善提案やアドバイスをします
④ 最終の納期を確定します
⑤ 当初の日程に修正があれば関係部署に連絡します

 納期通りに入手できることが確認できれば、納品を待ちます。

 (3) 材料管理機能
材料管理は、納入された原材料を受領し、検収し、適正に保管し、工場など要求部門へ指定された日程に出庫する役割を持っています。

材料管理担当の機能と役割
① 納入日に受領、検収する
② 必要に応じて受入れ検査部門へ検査依頼します
③ 検査合格を確認して、材料倉庫に入庫処理します
④ 材料倉庫にて安全に保管します
⑤ 製造する日程に合わせて使用する数量の原材料を数えて、準備する
⑥ 指定する部門に供給する(出庫処理) 

 資材購買機能は、契約から入手まで大きく3つに分けらますが、その組織形態は企業の規模やその会社の歴史や伝統により、多岐にわたっています。少人数の会社では、これらのすべての機能をひとつの課や係で担当しています。それより少し大きな企業になると契約担当と調達担当を兼務し、在庫を管理する業務を分けています。しかし、更に大きな企業では製造する製品の数が多くなり、生産量が多くなると業務の効率を高めるために4つの機能を課別、係り別などに分けてそれぞれを担当させます。

 (4) 開発購買機能 
製造業では、常に新しい製品の開発設計製造を企画検討しています。新製品には、他社に負けない新製品には、新しい機能や特徴を追加する工夫が必要です。開発購買は、新しく企画される新製品に必要な新技術、新工法それを有する新取引先に関する情報を入手し、製造部門や開発設計部門へ提供する機能、新技術や工法を有する取引先を見つけ出し、評価し、契約する機能を持っています。開発購買機能には、日常繰り返し実施される定常的な業務と異なり、資材購買に経験豊富な人材、技術に詳しい人材が必要で専門担当者として常に情報収集に当たらせています。

 開発購買担当の機能・役割
① 新技術・新工法、新規取引先などの情報収集
② 新製品に応じて工場部門、開発設計部門への情報提供
③ 新規取引先に関する評価と採用の決定

 以上が資材購買機能に関する概要です。

掲載日:2015/06/04