| アルメニアは、日本人にとって余り知られていない国である。とにかく情報が少ない。今回の調査に当たっても出発前には、安全については十分注意するように言われた。情報がないためにリスクについては、過剰に安全サイドにすべて傾くことになる。わからないから危険だということである。とにかく安全に関しては、過剰反応くらいが適切かもしれない。 |
| 昨年の訪問に当たっては、これらのことに注意を払いながら行動し、情報収集もした。短期間、北部地方4都市に限ってであるが危険は感じられなかった。 |
| 一般的に考えられるアルメニアの安全問題といえば、次のことが挙げられる。入手した情報や市内で感じたままを記録にとどめておく。 |
1 地震の国
まず、地震である。1988年12月にマグニチュード6.8の地震があり、このときに25000人が亡くなっている。この過去の大きな地震の経験で同じ地震がまたあるかもしれないという不安がある。これなどは日本に比較すればその比率は比較することができないほど小さいように思える。日本では、地震は毎日のように発生している。また、さらに大きな地震が近々発生することができないという情報もある。
アルメニアにおいては、建築中の建物を見たが日本の同様な建物に比較して柱の太さが我々素人でもわかるほど細い。地震の頻度よりも大きな地震が発生したときの建物の強度に不安があるといったほうが良いかもしれない。 |
2 原子力発電所
安全の点で次に大きいのが原子力発電所の異常爆発である。1986年に発生したチエノブイリの原子力発電所の爆発事故が起きるかもしれないということである。この理由は、首都エレバンの西側30キロメートルほどの所にチエノブイリ発電所と同じ型の原子力発電システムが使われているということである。あの事故がまた起きるかもしれないという不安感がある。日本にだって原子力発電所はたくさんある。ただ、チエノイブイリと違った型の発電所であると言うことだけである。原子力発電所ではないが、東海村のJCOではウランの扱いの問題で二人の担当者がなくなられている。
原子力発電に関してどの国でも最新の注意を払っているが100%安全といえないのが実態であろう。 |
3 交通事故
次は、交通事故である。アルメニアに自動車が増えたのは最近である。運転手も信号無視が多いといわれる。現在のアルメニアでは、一部の特権階級だけが自動車を購入することができるため、車はスピードを出せる乗り物であるという認識で運転する。速く走れなければ自動車ではないのである。日本ほど安全を考えて運転はしない。信号は無視するし、少しでもスキがあれば追い越し、追い抜きは日常茶飯事である。アルメニアの交差点では、青信号になってもよく左右を見て車がこないのを確認してわたらなければならない。
タクシー運転手の運転マナーも悪いようだ。交通渋滞はこのタクシー運転手が原因とも言われる。エレバン市の中心部は、信号を守るが少し、市街地から外れると信号無視もはなはだしい。とにかくまだまだ車優先の社会のようである。しかし、東南アジア諸国の各地と比較すると「それほど悪いともいえない」と言うのが率直なところである。滞在期間中に事故の現場を見ることもなかったが夜間救急車かパトロールカーのサイレンの音は毎日のように聞こえていたので事故は発生しているのであろう。 |
4 市内における治安状況
首都エレバンは、首都と言っても日本の地方都市くらいの感じである。町の中を何度か歩いてみたが危険は全く感じられない。エレバンに数ヶ月滞在したと言う日本人女性にも感想を聞いてみたが危険なことはほとんどないそうである。私が滞在したのは、6月で夜も10時近くまで明るい。夜の8時や9時まで子供たちも外の広場で遊んでいるし、女性も出歩いている。知らない土地なので危険地帯を知らないこともあるが、町の中心部は危険がないようである。滞在中、中心街のレストランで食事をしたが通りを歩く人たちの服装もみんなこざっぱりしており、危険な雰囲気は全く感じられない。
ただ、乞食はいる。ホテル近くの繁華街で現地人も外国人も区別せず寄ってきて手を出す。アルメニア語で何を言っているかわからない。通訳に聞いてみるとアルメニア語で「お金がない」と言っているそうである。「お金をください」と言っていない。そして、表情は穏やかでしつっこさは全くない。町の中心部においても警察官も余り見かけない。このような治安状態である。 |
5 日本人への国民感情
日本人に対する感情は良い。近隣諸国との関係が悪いために欧米諸国や日本とも良好にしておかないと困るのも原因であろう。しかし、各個人はそこまで考えて行動はしないから、もともと人間性が良いのであろう。旧ソ連や東欧諸国で経験の深い日本人の情報でも悪く言う人はいない。通りですれ違う現地人やレストランやコンビニの店員もみんな穏やかで良い顔をしている。古くからのキリスト教国ということも影響しているのかもしれない。 |
6 飲料水
飲み水は、本来、自然の水は良好なのであるが、その配管が悪いために水質が落ちるという。旧ソ連時代からの配管が取り替えられずに使用されているのが原因で感染症が発生したとの情報がある。配管が悪いために感染症が発生すると言うことは余り聞いたことがなく、日本では信じられないことである。水道の水を直接飲料水にすることは避けたほうが良さそうである。ミネラルウオーターは、コンビニやスーパーで販売しているのでこれを使用できる。2〜3種類あり、2リットルサイズで200ドラム(¥40)であった。ホテルの水は1リットルで1500ドラム(¥300位)
参考までにアップルジュースは1300ドラム(¥350円)、コカコーラ250CCで900ドラム(¥200)。 |
7 空港と航空便
滞在中に非常事態が発生したときは海外脱出の方法を検討しておかなければならない。最近各航空会社も飛行便が増加している。シリアへの飛行便もでき、ルフトハンザがミュンヘンへ週3便飛ぶようになった。
陸路では、トルコとの国境は閉鎖されており、アゼルバイジャンとは国境紛争があり、安全とはいえないという。グルジア経由とイランへの道がある。イランへの陸路出国については、アルメニア人は簡単だが外国人である日本人にはイミグレーションが厳しいらしい。実際に入出国の話があるわけではない。最も安全な残る方法は、グルジアへの出国である。エレバンから、グルジア国境までは道路が悪く、時間がかかる。 |
8 通信回線について
有名なホテルに滞在する範囲では、インターネットも可能である。各部屋には接続方法が記載されている。ただ、時間帯により途中で切れたりすることがあるようだ。昼間や深夜であれば接続できる。夕方から夜9時ごろまでは使用する人が多いためか途中で切れるという。個人が自宅で電話回線を確保しようとすると国際回線を使用することは難しいようである。基本的に回線が少ない上に独占されていて権利が取れないそうである。
携帯電話は、まだ外国人は買うことができない。権利を借りてプリペイドで使用する方法があり、滞在中の連絡にはプリペイド方式携帯電話のお世話になった。ただし、割高である。また、理由はわかっていないが3日間接続できないことがあったようだ。例えばロシアのプーチン大統領がきた時などは制限されるようである。プリペイド方式の携帯電話を借用できるが、主要都市が主体で幹線道路は、山の中に入るとアンテナがなく接続できない。少し人家が見えたところに入り、見通しの良いところになると使用可能になる。全国のどこでもむらなく使用できるようになるまで時間がかかりそうである。実際には、自動車での走行中、ドライバーにも時折携帯電話にかかってきており、不自由は感じない程度である。しかし、山岳部を走行中に自動車の故障などの場合には、接続できないことがあるので状況を判断しながら使用することである。 |
9 シークレットサービス
政治的には例えばKGBのようなシークレットサービスの機関があると言われている。旧ソ連邦の国である。そのような機関が廃止されたと考えないほうが良いだろう。日本は、政治的に過激な発言をしても問題にされることは少ない。その人の立場や発言する場所や状態で問題にされるがそれ以外は余りない。しかし、海外の国々では政治の批判は一般的な感情として不快な思いをさせるだけでなく、時には大きな問題となる。
東南アジアの国でも空港において英語で政治批判をして、それ以降入国禁止になった例もあると聞いている。海外の多くの国においては、スパイ活動には神経を使っているようである。特に隣接する国と問題を抱えているだけに発言には気を付けなければならない。日本の常識が通らないことは心して起きたい。 |
10 医療機関
医療関係の情報は余り得られなかったが医者個人の技術レベルは高いようである。全体の病院のレベルは安心できるレベルかどうかまだ確認できない。大きな病気になれば海外へ出るのがよさそうである。医薬品は結構手に入る。ロシア製やドイツ製である。効果が強いそうである。専門家の判断でないと副作用が怖いようだ。 |
|
緊急時の医療機関
名称:Europian Medical Center
住所:Vazgen Sorgsyan Street 3/1
電話番号:540003 |
|
| 2006年6月13日 |
| 加藤文男 |