国の住宅履歴情報の蓄積・活用の指針について

小野川 利昌
 昨年来のリフォームを主体とする工務店の経営革新計画承認申請支援の中で、国の住宅政策の一つである「住宅履歴情報の蓄積・活用」について調査をしたので要旨を紹介します。

1、国の動き:(1)平成19年5月自民党住宅土地調査会会長・福田康夫(当時首相)が中心となり「200年住宅ビジョン(豊な住生活の実現に向けた12の提言)」をまとめ、その中で「提言2:住宅履歴書の整備」を謳っています。
国土交通省はこれを受け「住宅履歴情報整備検討委員会」(委員長:野城智也東京大学教
授)を設置し、情報項目や共通ルール、普及方策等の検討を進めてきました。これまでに成果として「住宅履歴情報の蓄積・活用の指針」その他が取りまとめられています。    
(2)H20年12月、良質な住宅を普及するため、住宅の建築・保全に係る計画の認定などを
行う「長期優良住宅の普及の促進に係る法律」が公布され、翌6月施行されています。
この法律の認定を受ける住宅の所有者は、建築・維持保全の状況に関する記録(住宅履
歴書)を作成し保持しなければならないこととなり、「住宅履歴情報整備検討委員会」は、現在(H21年度)部会「共通の仕組み運用検討」「普及啓発」を置き検討を進めています。
2、国の目的:我が国では長く、住宅文化もスクラップアンドビルドの大量生産/大量消費の生産システムであったため、欧米での住宅サイクルが50年〜80年と言われている中で、日本は30年という短命となっています。このため住宅からの産業廃棄物増大、住宅中古市場の不活性化等を招いています。
  国はこれを反省し、“住宅は個人資産であるとともに世代を超えて継承されるべき社会的
資産でもある”として、「フロー消費型の社会から、ストック型社会への変換」を目的とし
た“ストック重視の住宅政策への転換”(H18年6月住生活基本法)を謳っています。
3、住宅履歴情報システムの概要:(1)長持ちのする住宅、売買に有利な資産価値の維持、災
害時の迅速な対応を目的にして「住宅履歴情報」を蓄積するとしています。
(2)マンション(集合住宅)と戸建住宅のそれぞれの特性を鑑み、新築時の情報、維持管理段
階の情報を蓄積し、特に不断の維持管理情報の更新蓄積が重要としています。
(3)所有者や建築業者の自覚、情報の蓄積活用をサポートする機関の設立を促しています。
4、H21年度より計画推進の動きが始まっています。
(1)住宅履歴情報の蓄積・活用の社会実験に係る説明会 H21年8月
(2)東大、東京ガス、LLP住生活情報マネージメントシステム企画の3社によるSMILEプロジェクト(H17
年〜H19年)の成果をもとに?轄\造計画研究所が「SMILE ASP」のサービスを開始している。
(3)?轄\造計画研究所が住宅履歴情報の社会実験に参加 H21年9月

 競争の激しい工務店業界において差別化の一環として、単なる顧客管理台帳から「住宅履
歴書(家歴書)」への発展拡大サービスを無視することはできないだろう。 以上