| 社長さんの工場を訪問するときいつも感心することがあります。それは、社長さん自身の電話の取り次ぎです。 |
| 3回以上電話のベルが鳴り続けると社長さん自ら受話器をとっておられますね。そして、相手先を確かめると、従業員を呼び出し電話の相手先を伝えています。 |
| 「XXさん、□□のAAさまから電話です」 |
| 女性らしい、やさしい電話の取次ぎの声は、工場の拡声装置からたまたま訪問した私にもよく呼び出す内容が聞こえました。このときの社長さんの「AAさんから電話です」ではなく、「XXさん、□□のAAさまから電話です」という呼び出し方から、お客様に大切にするという社長さんの気持ちが伝わってきました。 |
| 勿論呼び出している間、その声が相手に聞こえるわけではありません。しかし、このような丁寧な表現は話す人の態度に必ず表れます。この社長さんのお客様に対する感謝の気持ちを込めた呼び出しは、他の従業員全員へ聞こえます。経営者自らお客様に対する尊敬の思いを込めた模範を示せば工場全体に伝わり徹底されると思います。 |
| 「何もそこまでやらなくても」というかもしれません。しかし、これらはすべて経営者の従業員への教育ですね。経営者自ら、我々の仕事はお客様あっての事業であるという気持ちが伝われば、従業員は誰に対してでも、きっちり挨拶し、気持ちよく応対するように変化します。心が伝わってくるのです。これが企業の社風となって表れてきます。 |
| 景気が悪くなり、注文が減り、売り上げが落ちてくると意識改革や構造改革、企業の活性化などと難しい表現の対策がでてきますが、心のこもった経営の従業員教育こそ何にも勝る対策はありません。この社風ができるまで、相当時間がかかったと思われます。 |
| 社長自ら率先垂範、心を込めた応対を見せて、定着させてこられた結果です。これが大切なのです。良い社風が築き上げられ、定着すれば、社員は、安心して仕事をすることができます。そして、さらに社風が良くなるのです。 |
| 毎日の仕事をきっちり処理し、対応することで従業員も顧客もお互いに気持ちよく仕事ができるようになります。「この会社であれば、きっちりした製品や部品を作ってくれるだろう。」そのように自然に思えてきます。そして、顧客も安心して注文を出せるようになります。 |
| 不景気も、このような会社には大きな影響は与えず、味方にさえなります。景気が回復すれば、この会社への注文は増してきます。このような良い社風も、社員は、毎日当然のことのように行っているので当たり前だと思っています。しかし、発注する企業の担当者は、いろいろな企業をたくさん訪問しています。これらの担当者は、社風の違いを敏感に見ているものです。長い不況の間にも、注文が途絶えることはなく、堅実に利益を上げてきた理由も社長さんの電話の対応からみられます。是非、このようなお客様への肝痴話大切に堅実な経営を続けてください。ご発展を祈ります。 |
| 2006..6.14 |
| 中小企業診断士 加藤文男 |