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社長さんへの手紙

品質問題には、素直に耳を傾けましょう

〜信じられないことも現実におこります〜

 先日社長さんの会社を訪問した際、営業の方が一生懸命御社の製品について説明しておりました。どうもお客さまからの苦情に対する電話のようで言葉づかいは丁寧でしたが言葉の調子では、お客様の意見を聴くのではなく反論ばかりでした。

 製造業においては、品質に関する苦情が結構あるものです。品質に自信がある企業ほど、苦情を受けた場合「まさかそのようなことはない」とか「信じられない」とかと言う意識が働きます。しかし、実際の市場では何が発生するかわからないと言うのが実態です。

 これは製造業ではなくお菓子屋さんの例ですが店員にとって信じられないことが起こったのです。そのお店では毎日新しいお菓子を仕入れてほとんどその日で売り切ってしまいます。ですからお客様から「お菓子にカビが見つかった」と聞いたときには、店長をはじめ信じられませんでした。

 早速店長がお客様を訪問してしらべてみますと確かに中にカビのあるのが見つかったのです。お買上げのレシートの日付も問題ありませんでした。そこで購入されたときの様子をよく聞いてみました。購入されたのはもう夕方でした。ただ、欲しいそのお菓子は数が足りなかったので別のところにあるものから取ったようでした。別のところとは、商品見本としておいてあるところでした。

 商品見本は、常にレジの近くのカウンターの上に置いています。店員は、見本のところに置く商品見本は、販売しないものと決めていて、毎日新しいものと毎日入れ替えて交換していなかったのです。たまたまお客様は、数が足りなかったのでそこから取ってしまわれたようです。お店にとっては、信じられないことが起こっていたのです。

 お客様は、ほしい御菓子の数が足りなければ、近くに同じものがあればそれを取って数を合わせてしまいます。店の中にあるものはすべて同じものと見るのは当然です。当日は倉庫には在庫があったのですが店員がかごの中になくなったのに気付かなかったようでした。お菓子を販売するお店にとっては、決して食べられないものを見本であってもおいてはいけないと言う貴重な教訓でした。

 製品を販売するにあたり、製造に自信があるほど苦情について「内の製品に限ってそんなことはない」と懐疑的になるものです。しかし、どのような状況になるかわからないのです。まず、製品の苦情については素直な気持ちで耳を傾けたいものです。
2007.8.10
中小企業診断士 加藤文男
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