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社長さんへの手紙

このような技術伝承もありますね

 この度、理工学部の学生さんに対して製造に使用する色々な工具の目的や使い方などをご指導されたと伺いました。たいへん良いことだと思います。最近、家庭において親の仕事を手伝うことも少なくなりました。筆者の小さい頃は、親が棚を作ったり、家具を修理したりすることをそばで眺めていました。このときにノミやカンナも含めて色々な工具の使い方を学んだものです。年齢が大きくなるに従ってそれなりの工具を使用して手伝いをしたものです。
 最近は、親もすべて修理などは業者に任せて自分で行うことは少なくなりました。昔は、材料を加工し、部品を集めて組み立てる方がけいざいてきでしたが今は、完成したものを購入したほうが品質も良く、経済的になりました。また、子供も手伝うより、ゲームに熱中する時間の方が多く家庭で工具の使い方を学ぶチャンスも少なくなりました。
 このように子供の頃から工具を使用する習慣が少なく簡単な工具さえ使用できない学生が増えているようです。これは理工学部でも例外ではないようです。
 このような学生に対して簡単な工具とはいえ、実際に使って作業をすることを指導されることは重要で貴重なことと思います。社長がそれを引き受けられたことはたいへん良いことと思います。今回社長が実施された大学生への工具の使い方研修は、最近問題になっている技術伝承の基本的な部分です。ぜひ継続していただきたいものです。
 ただ研修の仕方については、ひと工夫していただきたいものです。また、社員に対する影響も考えていただきたいのです。社長として大学生を教えるといえば、喜ばしいことでやりがいもあるでしょう。社員に対して誇ることもできます。しかし、この種の研修は、事業という観点でいえば経営に寄与するとは思えません。内容からすると社長の趣味の範疇に見えるからです。
 この研修をもっと会社に生かす方法を考えてみませんか。今回指導した工具を社員の中にはまだマスターしていない人もいると聞きました。また、社員全員が社長の期待するほど工具を正しく上手に私用できるとは思えません。順番とすれば、社員の教育のほうが先の話ですね。これを機会に社員の教育も兼ねてはいかがでしょうか。社員への教育であれば、ウイークデイにやる方法も、意味もあります。そして、この際ですから社員に手伝わせて正しい工具の使い方を体得させることですね。社員も大学生に指導することになれば、その工具に関して調べるきっかけにもなります。安全作業の点でも意味があります。社員をその教育に使って、会社にとってプラスにすることもできます。
 折角依頼された貴重なチャンスを社長さんだけでなく、社員全員にとって意味のある事業の一部にされてはいかがと思います。ご検討いただければ幸いです。
2006.12.12
中小企業診断士 加藤文男
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