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社長さんへの手紙

都合の悪い情報から逃げないでください

〜情報の共有化をしましょう〜

 人間には、臭いものに蓋をしたがる傾向があります。
 「臭いものに蓋をする」という言葉は「醜悪な事実を他人に知られぬように姑息なてだてで隠す」と広辞苑には書かれています。
 社内ですから、姑息な手段で隠すようなことは少ないと思いますが、都合の悪い情報は避けようとし、表に出さないように働くことがあります。
 それでは会社にとって臭いものとはなんでしょうか。具体的には、次のようなものが考えられます。
  ・売上高が足りない
  ・資金繰りが大変だ
  ・お客さんから苦情
 確かにこれらの情報は、聞きたくないことばかりです。できるだけこれらの情報は遠ざけたくなります。都合の悪い情報からは何となく逃げだしてしまいたくなるのが人間の心情です。しかし、これらの情報から逃げている間に時間はどんどん過ぎていきます。
 売り上げの足りないことから逃げているとあっという間に年度末を迎えてしまいます。急いで取り繕うとしても間に合わなくなっています。早めに報告が上がっているはずですが、その情報を真剣に聞こうとしないで放置されてしまったのです。もっと早く真剣に聞いていれば社長が自ら行動を起こし、計画通りに販売する対策も可能になります。
 お客さんからの苦情も同じです。直ちに電話で確認しておけば簡単に解決できた問題も、電話をしないで放置しておくと、お客様の気持ちは悪いほうへと大きくなります。悪い感情が大きくなり、言われなくても良いことまで持ち出されて問題を大きくします。そして、取り返しのつかない状態になってしまいます。
 財務状況なども経理担当者が心配して社長に話をしようとすると「良くわかっています」と話を避けてしまいます。しかし、経理担当の方の心配をよそにギリギリまで手を打たれません。経理担当としては、社長は十分理解して、対策の手があるのだろうと思っていると全く対策なされていない。結局のところ、あわてて交渉ということになる。
 確かに社長さんの気持ちがわからないではありません。いつもこれらのことが気になっており、頭に中心に暗雲のようにまとわりついて離れない。決して忘れているのではないので、聞かれると「よくわかっている」という返事になるのでしょう。
 良い会社ほど臭いものに蓋をしません。顧客の苦情は早く社長に報告されます。社長もその対策を聞き、問題があれば直ちにしかるべき人に対策をとらせます。問題は大きくならないうちに解決できるのです。
 逆に良くない会社では、都合の悪い話には耳を貸しませんが、都合の良さそうな情報には飛びつきます。この客とこの客が「良い製品だ。買いたいといった。」といった情報だけで、まだ予算も計上されていないのに、買うと決めてもいないのにもう売れる事が決まったかのように販売予定にいれています。注文書ももらわないうちにもう今期は計画が達成できたかのようです。確認していないので期末近くになって計画が達成できないことがわかりあわてることになります。同じように誰かが自社製品を誉めると市場を確かめもせずに予想以上に売れると決めて計画を上方修正してしまうことにもなります。
 社長さん。都合の悪い情報から逃げないでください。都合の悪い情報ほど大切なのです。都合の良い情報も悪い情報も、全ての情報は組織的に共有しましょう。組織的とは、当事者や一部の関係者だけが分かっているのではなく、関与すべき人たち全員(かならずしも全社員という意味ではない)に必要な情報が伝わっているかどうかです。
 また情報には鮮度も大切です。悪い知らせほど「鮮度が命」だということを覚えておきたいものです。可能な限り早く情報は、新しいものと交換し、共有する仕組みが必要なのです。情報はできるだけ頻繁に見直し、確認するようにしたいものです。
2006.8.26
中小企業診断士 加藤文男
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