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社長さんへの手紙

本当にお客様を大切にしていますか

〜CS、顧客満足と従業員教育〜

 「顧客を大切にする」といえばどの企業でも「それは当たり前である」との返事があります。
 A社長さん! あなたも先日そのように話しておりました。
 「顧客からの注文がないと私の会社の経営は成り立ちません。従って、注文を出す顧客を大切にすることはしごく当たり前のことであり、当社でも当然実行しています」と断言しておりました。
 しかし、社長さんの思ったとおりに全従業員が本当に実行していると思いますか。また、行動や態度に表すように具体的に教育ができていますか。時折確かめてみる必要がありそうです。
 先日御社にお伺いしたときです。外部から電話がかかってきました。ベルがなって2回で受話器を取り上げられました。すばやいというか当然の対応で「さすが御社だ」と思いました。そして、直ちにスピーカで工場内の担当者を呼び出しました。
 しばらくして、又電話が鳴りました。同じ担当者が受話器を取り上げ、今度は侘びを入れています。どうも先ほどの電話が担当者につながれずに放置されてしまったようです。電話に出ないので顧客は、一端電話を切り再度かけてきた様子です。たいへん怒っている様子がその応対から伺われました。その電話は、結局先ほど取次ぎを頼まれた担当者へつながれずに切られました。「もう、つながなくてもよい」となったようです。
 これは、私が社長をお待ちするごく短時間に見られたことです。
 さて、A社長さん。あなたの取引先で「自分たちが本当に大切にされている」と受け止めている担当者はどのくらいおられると思っていますか。御社の経歴からして、現在の取引先はあなたが苦労をして開発した顧客先がほとんどと思われます。社長さんあなた自身には、苦労をして開拓したお客さまなのでそれぞれの相手先に特別な思いがあると推察されます。この特別な想いが従業員に正しく伝わっているでしょうか。「顧客を大切にする」というあなたの想いが従業員に正しく伝わり、実行されているでしょうか。
 取引先の担当者も時と共に次々と代ります。発注元の現在の担当者は、従来の慣行から継続的に注文を出しているだけにすぎないかもしれないのです。各担当者には、新しい売り込み先がアプローチしてきます。新しい担当者は、社長さんとの関係まで引き継がれることは少ないと思います。担当者によっては、他に良い発注先がないからやむを得ずに出していることもあります。先ほどの電話などがきっかけで新しい取引先に代えられてしまうことが良くあることです。
 先ほどのような取り次がれなかった顧客先は、小さなきっかけから別の会社に注文を移してしまうこともあるのです。もっと気持ちよく応対してくれる企業があればなおさらです。
 私が見たのはほんの短時間の稀な一例かもしれません。日常は、きっちり応対されておられると思います。そのように信じたいと思います。
 A社長さん。機会を捉えてもう一度徹底されたほうが良いと思います。そして、折角の大切な取引先を失わないようにしていただきたいものです。
2006.5.8
中小企業診断士 加藤文男
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